田中歯科クリニックが「咬み合わせ」に力を入れている理由は?
日本でも世界でも「咬み合わせ」に関しては、諸説あります。
世界中の歯科の専門医の先生方が研究しているテーマでもあります。
同じ顔の人が誰一人としていないのと同じように、同じ「咬み合わせ」の人は、誰一人としていません。
どの顔の形が正常かを数式で表す事が困難なように、「咬み合わせ」の基準値を設定するのが難しいのです。
個性的な要素をどういう比率で数値化し、具体的に臨床の治療に応用できるか!?という難問です。
咬み合わせがいかに全身の健康状態と深い関わりを持っているかを研究する為に「日本全身咬合学会」の評議委員としても活動してまいりました。
田中歯科クリニックには、日常的に咬み合わせでお悩みの多くの患者様が、いろいろな病状で来院されます。
例えば、よくあるケースでは、歯を失い「咬み合わせ」が数ミクロン変わった事で偏頭痛が出現したり、姿勢が悪くなるなどが挙げられます。
一般的には、失った歯を「インプラント」や「ブリッジ」、「入れ歯」などで補っていきますが、残存歯(残っている自分の歯)とのバランスを考えた非常に微妙な「咬み合わせ」がとても大事だということです。
多数の歯が欠損して、咬み合わせが崩壊して何年も悩んでおられた患者様の口の中の咬み合わせを正常に戻す事で、色々な病状が治る事を経験してきています。
歯科治療の中でもこの最も難易度の高い「オーラル・リハビリテーション(全顎治療)」が出来る事に、自分の治療の達成感を感じます。
「理想の歯並び」ってあるんですか?
「自然」でありながら「美しい咬み合わせ」。
そんな一挙両得なことってあり得るのでしょうか?
あるんです。
「黄金比率」という言葉をご存知でしょうか?
「黄金比率」は、1:1.618、約5;8です。
自然界のエネルギーや調和に深く関わっている割合なのです。
「黄金比率」は、「エジプトのピラミッドや、古代ギリシャの建造物に内在されてる」と発見されて以来、人間にとって最も安定し美しい比率とされ、現代では、美術的要素の一つとされています。
例えば黄金比率が使われている例として
- ピラミッドの底辺と高さ
- 正面から見たパルテノン神殿
- 絵画モナリザ(顔の生え際から顎先までが黄金比になっている)
- サグラダ・ファミリア
- Appleのロゴ
などに見受けられます
自然界では黄金比率を内在した螺旋形として
- オウム貝の対数螺旋
- 松ぼっくりのかさ
- ひまわりの花
など多く存在しています。
歯科ではどうやって生かすのでしょうか?
顔や口の中に「黄金比率」を持ち込むことによって、非常に理想的なバランスになります。
そもそも「咬み合わせ」ってどんな仕組みですか?
「咬み合わせ」とは、上顎(じょうがく:うわあご)と下顎(かがく:したあご)に並んでいる歯の接触関係の事です。
「上の歯」というのは、頭蓋骨に植立していて不動性です。
「下の歯」というのは、2つの関節を介して筋肉でぶら下がっていますね。
話したり食べたりする時は、下の顎が動いて機能を営んでいます。
ですから、本医院の治療は、まず咬み合わせの基準となる上顎骨に並ぶ歯並びの診断と治療、
次に下顎の歯並びの診断と治療の順番で行います。
最終的には、BULLの法則(
咬合調整法)を基本に咬合調整をして、患者さん一人一人に合ったバランスの良い咬み合わせを40ミクロン(100分の4ミリ)の「咬合紙(下記の画像が咬合歯です)」という特別な紙を使って調整していく治療です。
どんな理屈ですか?
ドクタークッパマンという人が、1955年から10000個以上の頭蓋骨を統計処理して基本的な計算式を作りました。
それを「ヒップ(HIP)プレイン」と命名しました。
『切歯乳頭部(せっしにゅうとうぶ)Hamular-Notch』(下写真参照)と2つの『臼歯切痕(せっこん)Incisive Papilla』を結んだ3点と平行に咬合平面がある事を発見しました。
このような本に載っています。(三浦登、松野公 雄 共著)より引用
尾澤暢彦先生考案のマイオコンピューター
こういう装置を使って「上顎の咬合平面」を先に設定します。
基準の一番理想的な平面を作った後に、下の咬み合わせを作っていきます。
ヒップ(HIP)プレインは、審美的にも機能的にもいい結果が出ています。
広く知ってもらうためには「症例報告」つまり学術論文で発表したり、専門誌で対談しています。
咬み合わせの調整は、「ミクロン単位」ですか?
口の中は、みんなオリジナル、一人ひとり違いますよね。
歯を失った場合、その人にとって「自然で健康的な口の中を再現すること」は本当に難しいことです。
なぜかと言うと技巧物(詰め物、かぶせ物、入れ歯等)が出来てきたら、それをそのまま付けて終わりではありません。
そこから「調整」をしなくてはなりません。
まず、歯と歯の間の接触する部分の隙間は「約30~50ミクロン」に調整します。
この隙間は「コンタクト・ポイント」といって、50ミクロン以上だと物が詰まり歯周炎の原因となりますし、30ミクロン以下だと歯根膜(しこんまく)を圧迫して歯根膜に炎症を引き起こすことがあります。
では、どうやって「30ミクロン」かを確かめるのでしょうか?
「50ミクロン」のコンタクトゲージを使用したり、私は、デンタルフロスが「パチ」っと音を立てて通るくらいが「30ミクロン」と想定しています。
調整の手順
1.前後の歯との健全な位置関係の調整
2.高さの調整
中心位と中心嵌合位を一致させるという作業です。
これは咬合紙という30~40ミクロンの厚さの特別な紙を使って行います。
下の顎の正中を上顎骨の正中に合わせて(下唇小帯と上唇小帯を一致させるように)誘導し、さらに10~20ミクロンの早期接触部位の調整もします。
3.微調整
そこから力を入れてさらに咬み痕でもらいます。
下顎骨がスライドして正中からずれないように調整します。(5~100ミクロン)
4. 下顎骨をスライド誘導
「3.」の位置から左右前後に下顎骨をスライド誘導します。(症例により犬歯誘導、グループファンクション、フルバランスドオクルージョン)(5~30ミクロン)
5.冠(補綴物)のセメンティング
合着に用いる接着剤の厚みで冠が浮き上がリの調整をします。(2~10ミクロン以下)
6.両隣在歯との辺縁隆線とのレベリングの調整
「ミクロン単位の口の中の調整で体全体のバランスを取り戻し、全身を健康体にする事」が私たち歯科医の役割だと思ってます。
5~50ミクロンの中の感覚は非常に繊細で、髪の毛1本入っても大きく感じます。
髪の毛1本の太さは約40~80ミクロンですから。
「非常に細かい仕事なんだ」という事がお解り頂けましたか。
「バランスが取れている」ということは、「美しく、かつ、機能的」だという事です。
「咬み合わせ」がよくなることで、体のバランスがよくなり「機能的」になります。
「咬み合わせ」を治して、メタボリズムや不定愁訴などが良くなったというデータが多くあります。
バランス・調和の取れている口、顔、そして身体は均整が取れて、健康美につながります。
「理論」があって、かつ「感覚」で仕上げます。
数値化したもの「理論」を、「感覚」でオブラートするのがベストな咬み合わせです。
計算式が基礎にあり、肉付けや装飾は「感覚」がないとできません。
建物でいうと「骨組み」と「内装・外装」に当てはまります。
顔で言うと、「マリリンモンロー」というベースの美形に、チャームポイントの「ホクロ」かな(笑)。
どちらも取り入れた理想的で個性的な美を持つ咬み合わせ治療を、それぞれの患者さんに提供できればと考えています
『白い歯の笑顔づくり』にスタッフと共に最善の信念と治療を持って、一人ひとりの患者さんと縁を結んでいければと願っております。